ECサイトという言葉を知っていても、「EC」とはなにか、またどのような仕組みになっているのかまで理解している方は多くないかもしれません。
この記事では、ECサイトの概要から種類、作成の方法などを解説します。運営を検討されている方にも役に立つことと思います。
ECサイトとは
ECサイトのECとは、電子商取引を意味する「Electronic Commerce」の頭文字を取ったもので、インターネット上で商品の購入・販売ができるサイトのことをいいます。
「ネットショップ」「ネット通販」「Eコマース」などと呼ばれることもあり、パソコンやスマートフォンなどの電子端末を使用して商品の取引が可能です。
このECサイトには2種類あり、出店して販売をおこなう「モール型」と、自社サイトにおいて販売をおこなう「自社サイト型」に分けられます。
ECサイトのビジネスモデル
ECサイトは、売り手と買い手の属性により「BtoB」「BtoC」「CtoC」の3種類に分類できます。それぞれの概要や特徴をご紹介します。
BtoB
企業同士(Business to Business)でおこなう商取引のことです。たとえば「企業がオフィス用品の販売企業から文具を購入する」「自動車メーカーが取引先から部品を購入する」などがこれにあたります。
代表的なサイトでは、「阿里巴巴(Alibaba)」が有名です。BtoCと比べるとサイトは多くありませんが、その市場規模はBtoCのECサイトのじつに20倍といわれています。
BtoC
企業が一般の消費者(Business to Consumer)に向けて販売をおこなうことです。企業がECサイトで販売をおこなう形式として、もっともポピュラーなビジネスモデルといえます。
代表的なものでは「企業がAmazonや楽天などのサイトに出店し、消費者がここから商品を購入する」「企業が自社サイトで服を販売し、消費者が購入する」などがこれにあたります。
CtoC
一般の消費者同士(Consumer to Consumer)でおこなう売買のことです。「消費者がオークションに出品して商品を取引する」「消費者同士がフリマアプリで商品を取引する」などがこれにあたります。
代表的なサイトとしてはヤフオク!やメルカリがよく知られており、市場規模はBtoB・BtoCより小さいものの、急成長しているため今後さらに伸びると予想されています。
ECサイトの種類
前述のとおり、ECサイトには「モール型」と「自社サイト型」の2種類があります。それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
モール型のメリット・デメリット
Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどの大手ECサイトに店舗として出店し、消費者に商品を販売する「モール型」はつぎのようなメリット・デメリットがあります。
モール型のメリット
- 利用者の多い大手モールに出店すれば集客力が高いため、売れやすい
- モール内ランキングや特集など、よりユーザーに見てもらいやすい仕組みがある
- サイトによって在庫管理や商品の発送などすべて代行してもらえることがあり、手間を減らせる
モール型のデメリット
- ほかの出店店舗との競争が激しい
- システム利用料、売上マージンなどの手数料がかかり、ある程度売れないと赤字になり兼ねない
自社サイト型のメリット・デメリット
自社サイトに通販の機能を実装し、そこで消費者に商品を販売する「自社サイト型」はつぎのようなメリット・デメリットがあります。
自社サイト型のメリット
- サイトの運営やデザインなどを自由におこなえる
- 大手モールに出店する手数料がかからないため、運営コストを抑えられる
自社サイト型のデメリット
- 公開から間もないサイトや知名度が高くない企業だと集客面が課題になる
- サイトのデザインから機能面の設計、在庫管理や商品の発送など、すべて自社でおこなう必要がある
代表的なモール
日本国内でユーザーが多い、代表的なモールといえば以下が挙げられます。
楽天市場
サイト上では3ヶ月・1年契約のプランの計4種類が紹介されており、売上目安や商品数などに合わせて選択可能です。また、要問い合わせで運営代行プランも用意されています。
初期費用:¥60,000
月額出店料:¥19,500~100,000
売上マージン:3.5~7%
※そのほか、楽天ポイント・アフィリエイト利用料などのオプション料金が発生します。
Amazon
Amazonでは、大口出品サービスと小口出品サービスの2種類があります。
大口出品
出品数やカテゴリーが無制限で、複数の商品を以下厚手出品できるなど、大口での販売に特化しています。
初期費用:無料
月額出店料:¥4,900
売上マージン:8~15%(商品カテゴリーによる)
※商品カテゴリーが本、ミュージック、ビデオ、DVDの場合は追加で「カテゴリー成約料」が発生。
小口出品
すでにAmazonで出品されている商品のみ販売できます。
初期費用:無料
月額出店料:無料
売上マージン:8~15% + 1点販売ごとに基本成約料(¥100)
※商品カテゴリーが本、ミュージック、ビデオ、DVDの場合は追加で「カテゴリー成約料」が発生。また、アカウントの設定完了時に、アカウント確認料(¥1)が請求されます。
Yahoo!ショッピング
Yahooは初期費用や月額料金が無料な代わりに、ユーザーインセンティブやアフィリエイト報酬を負担する必要があります。
初期費用:無料
月額出店料:無料
売上マージン:無料
ストアポイント原資負担:1%~15%(1%は必須)
キャンペーン原資負担:1.5%は必須
アフィリエイトパートナー報酬原資:1%~50%(1%は必須)
アフィリエイト手数料:アフィリエイトパートナー報酬原資の30%
自社サイト型の作成方法
自社サイトでECサイトを運営する場合、つぎの3通りの方法があります。
ASP
ASPとは「アプリケーション・サービス・プロバイダ」のことで、ECサイトの機能をネット上でレンタルして利用するものです。有名なASPとしてはBASEやカラーミーショップなどが挙げられます。
ASPのメリット
- デザインや機能はすべて構築されているので、そのまま利用するだけでサイトを作成できる
- 不具合対応やアップデートが自動的におこなわれるため、運用だけすればよい
- サーバーやインフラの用意がほとんど必要なく、安価なコストで運営できる
ASPのデメリット
- デザインや機能に縛りがあり、自由度が低い
- アクセスが増えた場合に対応できない
- ほかのシステムとの連携が難しい
パッケージ
ECサイトに必要な機能が揃っているソフトを購入し、自社で用意したサーバーでインストールしてサイトを構築する方法です。代表的なソフトとしてEC-CUBEがあります。
パッケージのメリット
- 独自にカスタマイズができる
- 標準でショッピングカート機能が利用できる
パッケージのデメリット
- 導入までにかかる期間や費用が大きい
- 集客は自身で実施しなくてはならない
- サーバー管理などの専門知識を要する
フルスクラッチ
既存のプログラムを使用せず、デザインやプログラムの構築などをすべてゼロから制作することをいいます。メリットとデメリットは以下のとおりです。
フルスクラッチのメリット
- 必要な機能を自由に実装できる
- さまざまなシステムと自由に連携できる
- アクセスが増えた場合も対応すれば受け入れを増やせる
フルスクラッチのデメリット
- ゼロから制作するため、作成の期間や費用が非常に大きい
- ゼロから制作するため、不具合が生じやすく対処に時間も費用も必要
まとめ
ECサイトにはBtoB、BtoC、CtoCと3種類のビジネスモデルがあり、さらにモール型と自社サイト型とがあって、それぞれ構築の仕方が複数あるとご紹介しました。
いずれにもメリット・デメリットがあるので、自社で商品をどの程度販売したいか、ショップの規模はどうするか、などを考えたうえで、どの方法で構築するか検討されてみてはいかがでしょうか。