ここ数年、高級ブランドのロゴの入ったTシャツを着ているミレ二アル世代や、高級ブランドのバッグを持ったZ世代を多く見かける機会が多くなったと思いませんか。
少し前までは「高級ブランド離れ」や「車離れ」が話題となり、実際に私の働いていた高級ブランド店に来る若者と言えばインバウンド(訪日外国人観光客)ばかり。
ではなぜ、多くのミレ二アル世代が高級ブランドを持つようになったのでしょうか。私のブランド店でもミレ二アル世代を取り込みたいと考えた私は話題のブランドについて調べてみました。
そして見えてきたのは、高級ブランドのインフルエンサーマーケティング。
昔より高級ブランドではインフルエンサーマーケティングの原点ともいわれる手法が使われてきていましたが、今の時代に合ったものに変化させそのブランドは集客に成功していたのです。
そんな大きなマーケティングの変革の現場では何が起きていたのでしょうか。
目次
ミレ二アル世代とは、1981年以降に生まれ2000年以降に成人を迎えた世代。 そしてZ世代とは1996年代から2012年生まれ、ミレニアル世代より後の世代のことを指します。
この世代は20〜30年後の将来を担う人口として注目されており、現在は購買力で、将来的には政治の面で強い影響力を持つと考えられ高級ブランドのみならずマーケティングを行っていくうえで無視できない存在となっています。
ミレ二アル世代の特徴は、情報リテラシーが高く、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求める傾向が強い点です。
そしてこの世代はデジタルネイティブ世代とも呼ばれ、生まれた時からデジタル技術やそれを活用したインターネットを代表とする新たなメディア環境のなかで育ち生活してきた世代です。
そのため、インターネットを通して世界中で多様な生き方をする人を目の当たりにしています。 他者の価値観を受け入れやすく、仲間との繋がりを大切にします。 しかしその一方で、個人でも日常的にSNSなどで情報発信をしており、個を重視しているという特徴もあります。
物質的な豊かさを求めないミレニアル世代の間では、ミニマリズムが重視されムダな物を持たない暮らしに重きが置かれています。
ですので、バブル世代のような「高級ブランドや車を持つことがステータス」という考え方は衰退し、モノを持つ「モノの消費」より、旅行やボランティア活動への参加など、何かを体験し経験を得る「コト消費」を重視する傾向にあります。
世界では人口の約4人に1人がミレニアル世代とされており、消費の中心世代にさしかかっています。そのため、この世代をどう取り込むかが高級ブランドをはじめ、これからの企業の成長に欠かせないものとなっています。
今までのマーケティングでは心動かされないミレ二アル世代。ミレ二アル世代を動かすためのマーケティングとはどういったものなのでしょうか。
高級ブランドでは今まで行われていたステータス性や高級感を謳ったマーケティングに終わりを告げ、新たなマーケティングを始めていきます。
その中でも誰もが知るグッチは、ミレ二アル世代をターゲットにしたマーケティングがミレ二アルズを動かし、低迷していた業績を回復する事に成功しました。
世界の高級ブランドは、この消費の中心にさしかかるミレニアル世代を最大のターゲットと据え、雲の上の存在からミレ二アルズの世界へ降りてきました。
具体的には、新進クリエイティブディレクターへの交代や商品の刷新、ストリート系ブランドやアーティストとのコラボレーション(ブランドロゴを大きくプリントしたTシャツなど)。さらに、彼らに影響力のあるアンバサダーの起用し、SNSをはじめとしたデジタルコミュニケーションの強化。
実際に店舗では、パンプスしかなかった店頭にスニーカーが並び、ハンドバッグの代わりにカジュアルな斜めかけのショルダーバッグが並ぶ。あまりにも今までのブランドイメージと異なるその戦略に既存の顧客は戸惑い、この戦略に難を唱えた顧客やブランド離れしていく顧客も少なからずいました。
しかし、お財布やアクセサリーしか購買していなかったミレニアル世代がスニーカーを買い、バッグを買っていく。今までとは違ったマーケティング方法でミレ二アル世代の「憧れ」を喚起し購買へと繋げていったのです。
顧客離れの観点から日本ではミレ二アル世代向けのマーケティングに懐疑的だった高級ブランドも、グッチの成功によりその重要性を再認識せざる負えなくなりました。
数年前まで売り上げが低迷していたグッチでしたが、2017年第三四半期の売上高は前年比49%増。そして、その売上高の55%が35歳以下のミレ二アル世代だったのです。
2015年にCEOに就任したビッザーリ氏は、ミレ二アル世代に人気な新進気鋭のデザイナーを起用し、広告塔に歌手のリアーナやレディ・ガガなどを抜擢しました。
そして、社内ではミレ二アル世代を中心とした若い層の意見を取り入れる体制を作り、多くの新しい意見を積極的に取り入れていきました。 それらのことでグッチは、ブランドの若返り化を成功させたのです。
実際私の働く百貨店でも、数年前まではグッチの店内は閑散としていました。しかし、ミレ二アル世代をターゲットとしたマーケティングが行われた後は、グッチの紙袋を持つ若者やアイテムを身に付けた若者が街に溢れるようになったのです。
そして、ミレ二アル世代のインフルエンサー達もこぞってグッチを身に付け、SNSで発信を行い、ミレ二アル世代の新しい「憧れ」となったのです。
近年、インフルエンサーマーケティングやインフルエンサーマーケティングなどの言葉をよく耳にするようになりました。
実際にインフルエンサーを起用したことで売上を伸ばしたブランドがあります。それは、誰もが知る高級ジュエリーブランド”ティファニー“。
アメリカの老舗高級ジュエリーブランドが行ったインフルエンサーマーケティングとはどういったものだったのでしょうか。
インフルエンサーという言葉を耳にするようになったのは、いつ頃からでしょうか。私は3年前くらいに職場の若い子がインフルエンサーの話をしていて、インフルエンザの進化系か何かかと思っていました(笑)。
インフルエンサーとは、世間に与える影響力が大きい行動を行う人物のこと。
ミレ二アル世代やZ世代からの支持を集めることで、芸能人でなくとも誰でもインフルエンサーになれる時代です。
その中でも近年ではTikTokなどの動画配信が流行したことで、「映え型」や「文字入れ情報型」のみではなく、インフルエンサー一人ひとりの個性や人柄が重視される「人柄重視型」に注目が集まるようになってきています。
インフルエンサーマーケティングとは、InstagramやYouTubeなどのSNS上で影響力を持つインフルエンサーを介して企業や商品についての情報を発信するマーケティング手法。
インフルエンサーを介することでフォロワーなどの多くのユーザーにアピールでき、広く拡散される可能性を秘めているマーケティング手法として今、注目されています。
注目され始めたのは最近ですが、ファッションの新しい時代を築いてきたシャネルやルイ・ヴィトンは、以前よりこのマーケティングの手法を行ってきたと言われています。
これらの高級ブランドは、ファッション業界や社交界の人脈を活用し新しい時代を象徴するデザインを売り込み、そして商品を身に付け社交界の花形・パリの街を歩いてもらうことで宣伝効果を得て成功してきました。
これこそがインフルエンサーマーケティングの原点ともいえる発想であり、社交界で注目を浴びる身近なインフルエンサーを使うことでファンを増やし、知名度を上げていったのです。
アメリカで最も有名な高級ジュエリーブランドの1つであるティファニーは、婚約指輪からダイヤモンドネックレスまで幅広く扱っており、エレガントさをそのジュエリーで表現しています。
トレンドに敏感なティファニーは、様々なインフルエンサーキャンペーンを実施するために4人のトップインフルエンサーとタイアップしました。
ティファニーによるインフルエンサーマーケティングキャンペーンは、ティファニーが扱うジュエリーの中でもリーズナブルな価格帯の商品をミレニアル世代を中心に知ってもらい、ブランドの印象を親近感のあるものに変えることをゴールとしていました。
そのため、環境への配慮を重んじる考え方が強いミレニアル世代へ向けて、ソーシャルグッドの観点からティファニーの取り組みを紹介することで認知度をアップさせる戦略が行われました。
その結果、ティファニーはミレ二アル世代を中心とした若い世代の支持を集めInstagramでは40万件を越える#ティファニーが投稿され、その人気が広がりを見せています。
高級ブランドだけでなく、日用品においても成果を発揮するインフルエンサーマーケティング。
その効果が出やすいとされているのが、ファッションやコスメ。
特にInstagramは女性ユーザー率が高く、ファッションやコスメを使用するターゲット層が多いのが特徴。
最近では洋服やコスメを購入したいと思った場合、Googleなどで検索をせず直接SNS上で検索しアイテムを購入するユーザーが増えています。
洋服やコスメ以外でも、トレンド感の強いジャンルはSNS上での検索がミレ二アル世代を中心とした若者の間で主流になりつつあるため、インフルエンサーマーケティングの効果はより出やすくなっています。
Instagramは「インスタ映え」という言葉が作られたように、「おしゃれ」「キラキラ」「色鮮やか」「非日常」などが受け入れられやすいSNSです。
その点、ファッションやコスメはパッケージや色合いが鮮やかであり、見た目の華やかな場合が多く、Instagramと相性がいいアイテムだと言えるでしょう。
Instagramでは、フィード投稿・ストーリーズ投稿どちらもオンラインショップなど外部サイトに飛ばしやすい設計になっています。
実際に「おしゃれ」「かわいい」と思ったら、どこのブランドのいくらする商品なのかすぐ知りたいですよね。
Instagram投稿では商品の上にタグを付け、オンラインショップのURLだけでなく、商品名や価格を簡単に載せることが出来ます。
消費者が求めている情報を商品ごとに載せることができるため、とても便利で販売に繋げやすいというメリットがあります。
あなたが持っているその商品も、ターゲットに合わせたものへマーケティングの手法を変革することで売上は変わっていきます。
その可能性の芽を摘むのではなく、伸ばしてみませんか。
高級ブランドのマーケティングはここ数年で大きな変革をしました。
マーケティングの主軸をミレ二アル世代と捉え、若い世代の意見を取り込みデジタルマーケティング世代にバズるSNSやインフルエンサーを次々と活用していったのです。
そういったマーケティングが成功し、私の働いていた高級ブランド店にも多くの若者が訪れるようになりました。その一方で、既存の顧客は取り残されたと感じる方も少なからずいました。
しかし、長年ブランドを愛してきた顧客たちは、時間がかかりながらもこの変革の波に乗り始めました。 高いヒールの靴しか履いてこなかった顧客がスニーカーを履き始め、カジュアルなバッグを持つ。
だからと言って若者に迎合したファッションではなく、40代や50代でしか着こなせない味のある着こなしを始め、新しい「かっこよさ」を表現していきました。
そして、高級ブランドだけでなく日常使いのファッションやコスメなどにおいてもインフルエンサーマーケティングを活用し販売に繋げることは可能です。
大きな可能性を秘めているインフルエンサーマーケティング。あなたの商品のマーケティング方法、見直してみませんか。