「TikTokはフォロワーの数に左右されない新規参入しやすいSNSだ」
「5G時代」を前に、事業の運命を決める動画SNSについて深く知ろう
来たる「5G時代」を前に、動画コンテンツの更なる発展が予想される昨今だが、すでに攻略の糸口を掴めている業者はそう多くない。
そんな中、若年層を中心に絶大なアクティブユーザー数を誇るショートムービー共有アプリ「TikTok」では、名だたる大企業も参入し、数多のキャンペーンがひしめき合っている。
「YouTube」や「アドネットワーク」による動画配信など、様々な動画施策があふれる中、なぜ現在ここまで「TikTok」が注目されているのか。
そこには同媒体の優秀なアルゴリズムに依拠する「デリバリーの精度」と「新規参入の気軽さ」があった。
今回は「TikTok」のフォロワー数が13万人を突破しており、総再生回数は全世界300万再生を記録したパフォーマー、マーケターのミッシェル氏(Crystal Magician Michel、以下Michel)に話を伺った。
「TikTok」におけるバズはフォロワー数に左右されない
新規参入者こそ「TikTok」攻略のリターンは大きい
Michel :2018年に行われたアメリカの調査会社によれば、「TikTok」は年間で最もダウンロードされたアプリとされています。
実際に使っていると、日本だけでなく「英語」や「中国語」「ベトナム語」でコメントが来ることも多く、世界的なアクティブユーザーの多さを実感します。
まずアプリを立ち上げると、ホーム画面でいきなり「知らない誰か」がアップロードしている動画がオススメとして流れてきます。
例えば僕の場合だと、料理系の動画。
これはTikTokに搭載されているAIが、僕が好きそうだと判断したものを、自動的に表示させています。
「TikTok」を開発・運営する「ByteDance社」は、非常に高度なAI技術を保持していることで有名です。
そこへ近年さらに大量のエンジニアを投入しており、アルゴリズムの制度にはますます磨きがかかっていると言われています。
そんな技術の結晶が存分に組み込まれているのが、この「オススメ動画」のフィードと言えるのではないでしょうか。
◆より親和性の高いユーザーに対してアプローチできる
Michel :「YouTube」や「Instagram」の場合だと、例えば直近で見た投稿や、同じ投稿を見たユーザーが次に行った行動などに基づいて分析が行われます。
一転「TikTok」の場合は、見た動画のBGM、そこに出演していた人間の性別や年齢、どんなジャンルの動画だったかなど、様々な方面から複合的に“動画自体”が分析されます。
他のSNSのように「♯タグ」の占めるウェイトが高くなく、動画そのものに対する分析結果を元に、親和性の高いと判断されたユーザーにコンテンツがデリバリーされるのです。
この制度が非常に高いため、目的意識の高いコンテンツを制作している限り、しっかりとそれを好むユーザーに対して配信されることになります。
TikTokのアクティブユーザーのうち「40%程度」は投稿をせず、視聴だけを楽しんでいるユーザーです。
全ユーザーの一日の平均視聴時間は「40分」と言われているので、一人当たり「160~200本」の動画を見ている計算になります。
これだけ多くの視聴回数を、“確度の高い”ポテンシャルカスタマーに宛てられるため、その効果は絶大です。
◆フォローしているユーザー以外の動画も表示される
Michel :先ほどからご説明しているように、オススメに表示される動画は「TikTok」のAIによる分析で決定していますが、その対象はフォローしているユーザーの動画だけにとどまりません。
そのためアカウントを作りたての人でも、いわゆるバズが起こせるのが「TikTok」の大きな特徴の一つです。
「Twitter」や「Instagram」の場合は、フォロワー、あるいはタグで検索してきたユーザーに対して投稿が表示されます。
仮にリツイートされても、そのユーザーのフォロワーにしか広がらないので、ある意味クローズド。
これまでの企業アカウントはフォロワーありき。自分の投稿を見てくれる人がいないと始まらないので、フォロワーがいない新規アカウントの参入には高い障壁がありました。
ただ「TikTok」の場合はAI独自の判断でユーザーにアプローチできるため、作り立てのアカウントでも、クオリティの高いコンテンツを制作すれば拡散が狙えます。
フォロワーによる“人為的な拡散”ではなく、AIによる“自動的な拡散”が行われているのです。
では実際に「TikTok」における“コンテンツの質”とは、なんだろう?
ユーザーに好まれ、AIに拡散されるショート動画には「6つ」の共通事項があるという。
▼後半に続く